愛して。【完】





わかってます。


行かなきゃいけないのは、わかってますよ、蓮さん。


だって、水川真梨を一人にした、この状態を作ったのは紛れもない俺だ。


俺が、一番探さなきゃならないことくらい、わかってる。


でも、どうしようもなく…




「わかってんだろ?アイツに…真梨に、闇があること。気付いてんだろ?」




…わかりたくなかった。




「お前は、人一倍人の傷に敏感な奴だから。ほっとけねぇんだろ?真梨のこと」




蓮さん、違うんです。


ほっときたい。


正直言うと、水川真梨なんかに関わりたくなんかない。


そう思うのに。


そう思ってるのに。


心のどこかで、違うことを思っているのかもしれない。




「行って来ます」




俺はそう言って虎太郎の腕を掴むと、屋上から逃げだすように走り出した。






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