愛して。【完】
「面倒くせぇ」
「だな。…でも……」
「アイツなら、変えくれる…か」
俺の呟くような声に、虎太郎はフッと笑って肯定する。
水川真梨なら、俺達を変えてくれる。
それは多分、獅龍のみんなが何となく、ほんのちょっと。
心に、抱いてることだと思う。
だって、現に蓮さん達はほんの少しだが変わった。
前は身内以外の女なんて寄せ付けなくて、ましてや倉庫に連れて来ることすらあり得なかった。
そんな蓮さん達が、一番嫌いな類の遊び人、水川真梨を連れて来て。
嫌いな類なはずなのに、笑ってる。
しかも、女嫌いの隼さんまで。
どういう経緯でそうなったのかなんて、さっぱりわかんねぇ。
でも、少しずつ。
ほんの少しずつ。
俺達が、みんなが水川真梨を見る目が変わって来てるのはわかる。
“軽蔑”から“期待”に。
水川真梨は変な所鈍感なのか知らないけど、気付いてないと思う。
虎太郎も、きっと水川真梨に期待…と言うか、変えてほしいと思ってると思う。
でも、俺は……
認めたくない。
強情かもしれない。
いや、いっそそう言ってくれた方が楽だけど。
それでも……認めることが、出来ないんだ。