愛して。【完】





何でこうなってるんだとか、


何でここなんだとか、


考えたって仕方なくて。


答えなんて出なくて。


あたしには、この男をどうすることも出来ない。


どうも出来ない自分が歯痒くて。


どうしようもなく、悔しい。


自ら消したはずの感情が、心の奥から湧き出て来て。


悔しくて、悔しくて、悔しくて……


嫌で、嫌で、嫌で……


出もしない涙が、出そうで怖かった。





「離してっていってるでしょ?!」


「………」




無言であたしの言葉を無視する目の前の男。


あぁ…もう、諦めよう。


本気で、そう思った。


そう思ったんだ。




…でも。


男に引かれていない、自由な手に、何かが触れて。


ぐんっとそっちに引かれた瞬間、少し。


ほんの少しだけど……ホッとした。








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