愛して。【完】





多分、全部だったんだと思う。


だから、今。


光があたしの腕から手を離さないことに心底――…ホッとしてる。




「何やってんだよ、このバカ女」


「っ…バカじゃないわよっ!てか何で光がここにいるの?!」




声を張り上げれば、震えていた声は元に戻って。


光に気付かれないように、ホッと息を付いた。




「あぁ?お前が嫌がってるように見えたから、助けてやったんだけど?」




そう、偉そうに言う光。


いつもならここで何か言ってやるとこだけど…


何も言えない。


だって、事実だから。


ここに光がいて、虎太郎がいて。


助けてもらって、ホッとしたことも。


助けてもらって、助かったことも。


全て、事実だから。









< 185 / 404 >

この作品をシェア

pagetop