愛して。【完】
多分、全部だったんだと思う。
だから、今。
光があたしの腕から手を離さないことに心底――…ホッとしてる。
「何やってんだよ、このバカ女」
「っ…バカじゃないわよっ!てか何で光がここにいるの?!」
声を張り上げれば、震えていた声は元に戻って。
光に気付かれないように、ホッと息を付いた。
「あぁ?お前が嫌がってるように見えたから、助けてやったんだけど?」
そう、偉そうに言う光。
いつもならここで何か言ってやるとこだけど…
何も言えない。
だって、事実だから。
ここに光がいて、虎太郎がいて。
助けてもらって、ホッとしたことも。
助けてもらって、助かったことも。
全て、事実だから。