愛して。【完】
「ありが…とう……」
ボソッと呟いたあたしの声に、光は気付いてるのか、気付いてないのか。
視線を、あたしから未だにあたしの腕を掴んでいる男に向けた。
「…その腕、離せよ」
「ハハッ、誰が」
「誰がって、てめぇしかいねぇだろうが」
光と男が睨みあう間に挟まれてるあたしは、身動きが取れない。
ただ見えるものと言うと、どこかと携帯で通話中の虎太郎と、睨みあう不良。
あたしと言い合っている時よりも鬼のような形相をした光は、やっぱり不良なんだと思わせる。
いつもと、こう言う時は…やっぱり、雰囲気が違う。
いつもってほど光のこと知ってる訳じゃないけど…
やっぱり不良なんだって、思わせられる。
髪色から言って、不良なんだけどさ…