愛して。【完】
それから颯が帰ってくるまで、一時間もなかったと思う。
「…で?なんなの?この空気」
でも、その1時間もない時間の間、あたし達は終始無言で。
重い空気が圧し掛かったように頭が重い。
多分、この時間を何時間にも感じたのはあたしだけじゃないと思う。
そして、颯が来たことで少し空気が変わり、助かった、と思ったのもきっとあたしだけじゃないはずだ。
「やっほー、颯」
「やっほー、真梨ちゃん」
ニコッと笑うあたしに、ニコッと笑い返す颯。
――あぁ。
やっぱり、あたしとあんたは――…同類、だ。
「颯ッ!コイツ何とかしてくれよ。全然反省しないんだって」
タカがあたしを顎で指しながらそう告げ口したって。
颯の顔色は一切変わらない。
だって、颯は…“仲間思い”だから。