愛して。【完】
「あ」
そう言うと同時に、蓮に視線を向ける。
「蓮、汗流したいんだけど…シャワー浴びていい?」
「…あぁ、風呂じゃなくていいのか?」
「うん。じゃあ、借りるね」
蓮にありがとう、と言う様に笑い掛けて、総長室の扉へ手を掛ける。
そして、振り返り颯に視線を向けた。
「颯は“仲間思い”だね」
颯以外は、その言葉を聞いて意味が分かっているのかいないのか。
ポカン、としていたり眉間に皺を寄せたりしているけど。
颯は意味が分かったようで。
あたしに向けて、ニッコリ笑った。
そう。
上手すぎる、作り笑いを。
それを見てあたしも笑うと、そっと総長室の中へと足を踏み入れた。