愛して。【完】
そして、なぜか沈黙している目の前の男達は、俺を見てる。
…と言うか、睨んでる。
「何だよ」
そう声を漏らすと、「アホ」と大河が俺に毒づいた。
「誰がアホ?アホなのはお前だろ?」
「ちげぇよ、アホなのはアイツ。真梨」
大河の言葉の意味がわからず、は?と言葉を漏らす。
「だから、颯が自分のこと認めて無いってわかってんなら、あんな遠回しな良い方しなけりゃいいのに、って」
あぁ…
そう言うことか。
まぁ、確かに真梨ちゃんを認めた覚えは無い。
それに、コイツ等いわく俺の機嫌が悪い時は、言葉遣いが悪いらしい。
丁度、今みたいな?
どちらにしろ、気の許して無い相手にはこんな話し方しないけど。
だから、さっきはいつも通りに真梨ちゃんに接したつもり。
でもまぁ、俺にとっては真梨ちゃんがどう思ってようがどうでもいいことで。
それよりも、言わなければならないことがある。
「蓮」
「何だ」
「真梨ちゃんといた男のことだけど」
そう、あの男のことを。
「邪鬼の、下っ端だったよ」