愛して。【完】
「蓮」
「んだよ」
「真梨ちゃん、呼んで来て」
時間的に、シャワーが終わっていても終わってなくてもあり得る微妙な時間だ。
でも、どちらにせよ総長室に入れるのは蓮だけ。
必然的に真梨ちゃんを呼んで来れるのも蓮だけ、と言うことになる。
もちろん、それは蓮もわかってて。
仕方なしに、蓮は不機嫌そうな面でソファーから立ち上がった。
そのままそっと扉に近付くと、蓮は戸惑いもなく扉を開けた。
「あ」
「あ゛?」
蓮の開けた扉の中から、真梨ちゃんの間の抜けたような声が聞こえて、思わず眉を顰める。
それとほぼ同時に聞こえた蓮の不機嫌そうな声も、なぜか少し戸惑っているように聞こえて。
ソファーに座っている、俺を含めた4人はソファーから立ち上がる。
そのままそっと蓮の後ろに立つと、後ろから総長室を覗いた。
――そして、俺達の思考回路は遮断された。