愛して。【完】

嫌味を言ったはずなのに何も言わない真梨ちゃんを変に思い、真梨ちゃんへと視線を向ける。


そうして視界の中へ入った真梨ちゃんは、不自然にも肩が上がっていた。


でも、それはほんの少しの間だけで。


すぐに、元に戻った。




「ま、俺が守るから大丈夫だけどー！」




ほんの少しの沈黙を破るように、隼がそう言って真梨ちゃんに抱き着く。


蓮はそれを見て、少し眉を顰めた。


大河はそれを見て楽しそうに笑っていて。


俺もそれを見て小さく笑った。




ふとタカを見ると、立ち上がって寝室の方に近付いていく。


途中で隼の後ろで立ち止まったかと思うと、その頭をコツン、と叩いて。




「“俺が守る”んじゃなくて、“俺等が守る”んだからな！」




そう言って、寝室に消えて行った。




俺に背中を見せていた、タカの表情は見えなかったけれど。


微かに、笑っていた気がした。