愛して。【完】
その時、いきなり部屋にケータイの着信音が響いて、ハッと顔を上げた。
鳴り続けるその音は、クローゼットの中から聞こえて。
制服に入れたままクローゼットに入れてしまったんだ、と言うことを、なんとなく思った。
力の入らない足に無理矢理力を入れて、まだ鳴り続けているケータイをそこから取り出す。
ケータイを開いて、誰の着信かを確認する。
相手は――…菜穂だ。
昨日も着信があった、親友である菜穂。
あたしは名前を見た瞬間、咄嗟に通話ボタンを押して、それを耳に当てた。
「もしも「真梨?!」
…し、と最後までは言わせてもらえなかった。
「真梨?!ホントに真梨だよね!?」
「あたし以外に誰が出るって言うの」
「良かったぁ~…」
ホッとしたような声色の菜穂に、首を傾げる。