愛して。【完】
「どうかしたの?」
「あ、それがさぁ~、真梨が暴走族の姫になったって噂が流れて来てんの!もう、拉致られたりしてないかって心配で!
そんな噂、ガセに決まってんのにねぇ~?」
あぁ…さっき颯が言ってたことかぁ。
もう菜穂まで広まるとか早くない?
と言うか…
「ガセじゃないけどね」
「え?」
間の抜けたような声が、電話越しに聞こえる。
だけどあたしは、それにどう思うこともなく、ほぼ裸に近い体に下着、そして服を纏っていく。
「だから、ガセじゃないって」
「へぇ。ガセじゃないんだ…って、えぇ?!」
菜穂の大きな声に、思わずケータイを耳から遠ざけた。
「ちょ、ちょっと待って?!ガセじゃないってことは、あの噂本当なの?!獅龍の姫になったって!
え、何で?ちょっと待ってよ!」
「菜穂…うるさい」
「ご、ごめん…」
いつも菜穂は年上のくせにテンションが高い。
でも、それの比ではないくらいうるさくて。
うるさい。
うるさすぎる。
ほんと、年上には見えないや…