愛して。【完】
「そっか…って言うか、蓮を抱き枕にしたのは不可抗力だし、なんだったらここで寝なきゃよかったじゃん」
ムッと蓮を睨んで言うと、蓮はハァ?とバカにしたような視線を向けてくる。
「俺がベッド以外で寝るわけねぇだろ。なんだ?ソファーで寝ろってか?」
…確かに、あたしと蓮がいるのはベッドの上で、この部屋の所有者はあたしではなく蓮。
この部屋にはソファーも一つあるけれど、普通なら居候であるあたしがそこで寝るのだろう。
もちろん、蓮がベッドで寝るのは当然のこと。
でも…一昨日寝た時は、蓮があたしのこと抱き締めて寝たんだし…
「蓮だってしたんだから、別にいいじゃん」
そう思うのは、あたしだけだろうか?
「あ゛?良くねぇよ。男の事情ってもんを考えろ」
「はぁ?男の事情?何それ。あたし女だからそんなのわかんないし」
「わかんねぇじゃねぇ、考えろ」
「無理」
「あ゛?」
面倒臭いやり取りが続いて、イライラが募る。
あー、つーかもう、ほんとに面倒臭い。