愛して。【完】
「おはよう」
栗色に染め上げた髪に紫のカラコンを入れた姿で部屋を出れば、聞こえた声。
うざいくらい爽やかなその声に、あたしは適当に返すと、ふと周りを見渡す。
そこにいるのは、目の前にいる颯だけで、蓮達はいない。
「蓮なら先に学校行ったよ」
あたしの心の中が見えているかのようにそう言う颯に、眉間の皺が寄る。
しかも、何故か蓮に限定されてるし。
意味がわからない。
「あっそ」
そっけなく答えるあたしを見て、クスクスと笑う颯。
そんな颯を睨み付けるけど、颯にはそんなもの効くはずがなく。
「学校行くよ」
そう言って立ち上がった颯にあたしも頷いた。