愛して。【完】




「おはよう」




栗色に染め上げた髪に紫のカラコンを入れた姿で部屋を出れば、聞こえた声。


うざいくらい爽やかなその声に、あたしは適当に返すと、ふと周りを見渡す。


そこにいるのは、目の前にいる颯だけで、蓮達はいない。




「蓮なら先に学校行ったよ」




あたしの心の中が見えているかのようにそう言う颯に、眉間の皺が寄る。


しかも、何故か蓮に限定されてるし。


意味がわからない。




「あっそ」




そっけなく答えるあたしを見て、クスクスと笑う颯。


そんな颯を睨み付けるけど、颯にはそんなもの効くはずがなく。




「学校行くよ」




そう言って立ち上がった颯にあたしも頷いた。




< 247 / 404 >

この作品をシェア

pagetop