愛して。【完】
「足、捻ったのかよ?」
「…らしいね」
「立てるか?」
「多分」
そう言いつつ、立とうとしない。
きっと立てないんだろう。
意地を張っているだけだろう。
「虎太郎は?」
「あ?虎太郎?」
「さっき一緒にいたじゃん」
「あー、蓮さん達呼びに行った」
俺がそう言えば、は?と目を見開いた水川真梨。
「何で呼びに行ったのよ」
ありえない、と言う様に俺を睨みあげてくる。
「何でって…当たり前だろ?お前を姫にするっつったのは蓮さん達なんだから」
俺も軽く睨み返すけど、水川真梨は何を思っているのか俯いた。
「…がう」
「え?」
「違う」
「違うって…何が」
「“達”じゃない。蓮“達”じゃない」