愛して。【完】
「真梨」
蓮さん特有の低く、でも色気の含んだ声が聞こえて水川真梨から一歩離れて礼をする。
「立てねぇのか、真梨」
「……」
沈黙は肯定ととったのか、蓮さんは水川真梨の背中と足に腕を添えて持ち上げる――所謂、お姫様抱っこをした。
「光、後は頼む」
「はい」
俺が頷いたのを確認して、蓮さんは去って行く。
その後ろにいるのはタカさんだけで。
ほんの少し、と言うのはこういうことなのかなんなのか。
俺には分からない。
ただ、蓮さんに大人しく抱かれている水川真梨が、とても小さく見えた。
【光side end】