愛して。【完】





「…コレ何?」




そう問いかけた真梨はお風呂に入ったみたいで、昨日と違ってジャージを着ていて、髪はハニーブラウン、碧眼のブルーの瞳をパチパチさせている。


怪我をしたらしい足は痛むのか、ひょこひょこ歩いている。




俺より小さい真梨は、やっぱりなんだか儚い。


そして、昨日と違ってジャージのことに少し安堵した。




「何って、夕飯だけど」




タカが答えれば、真梨はへぇ、と声を漏らす。




「今から食べるの?」


「あぁ」




真梨の問いに蓮が返事をすると、真梨はテーブルに置かれた料理へと視線を向ける。


数秒それを見詰めると、何が気にくわないのか、眉間に皺を寄せた。




何が――なんて、だいたいわかるけど。


どうせ、量が多すぎるとかそんなことでも考えてるに決まってる。




「真梨?」




タカが立ったままの真梨に声を掛ける。


つーか…お腹空いて死にそう。


手に持った箸が、まだかまだかと待っている。


だけど、




「ごめん、あまり食欲ないしいらない」




その言葉に、大きく胸が音をたてた。





< 294 / 404 >

この作品をシェア

pagetop