愛して。【完】





勢いよく口に料理を放り込んでいく。


ん、この唐揚げうまっ!


このサラダもまあまあかな。




どんどん口に料理を運ぶ。


何だか視線を感じるけど、気にしない。


どうせ真梨だろうから。




「ん」




蓮の声に視線を向ければ、蓮が真梨に箸を差し出している。




「これ…」




困惑しているような声を出す真梨に、少し笑いそうになる。


まるで、自分を見ているようだ、と。




「買って来たんだよ。ここに住むんだったら必要でしょ?」


「真梨達が病院行ってる間に買ってきてやったんだからなー」




ニヤニヤ笑う大河を見て、本当なのかと聞くように真梨は俺を見る。


様子を見ながらも食事を運び続けていた手を止め、真梨へと視線を向ける。


真梨の目を見て、ニコッと微笑んだ。




あの日の自分に、微笑んだ。






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