愛して。【完】
「本当に美味しい…」
ついさっきまでの俺のように、涙を流したまま真梨は箸を伸ばす。
「こんなに美味しいもの、食べたの初めて…っ」
そう言ったのを聞いて、漠然とやっぱり、と心の中で呟く。
やっぱり、真梨は寂しいんだと思って。
甘えたいんだ、と思って。
俺はいつの間にか、真梨の横に座っていた。
自分でも、よくわからない。
同情かもしれない。
同士だということへの安心感かもしれない。
でも、そんな真梨を、少しは認めてやってもいいかな…なんて、思った。
「ごちそうさま」
真梨がそう言う頃には、俺の手は自然と真梨の頭の上にあった。
【隼side end】