愛して。【完】
一人でここにいるというのもなんだか嫌で、あたしはこの部屋からも出た。
部屋を出ればある階段を下りる。
そして、そこには異様な光景があった。
きっとあたしは、幻覚でも見てるんだと思う。
うん、きっとそうだ。
これは幻覚だ。
だって、ありえない…
獅龍のメンバーである厳ついヤンキー達が、ほうきや雑巾を持って倉庫内を掃除してるなんて…!!
「おい、何してるんだ?」
いきなり後ろから話し掛けられて、ビクッと肩が上がる。
「あんた誰?どこから入って来たんだ?」
この声は、誰だっけ?
聞いたことはあるような気がするんだけど…
でも、あたしが水川真梨だとは気付いていないみたい。
今の格好がジャージって所であたしだと気付いてくれてもいいと思うけど…
まあ、あたりまえか。
あたしは今、獅龍で蓮達にしか見せたことのないハニーブラウンの髪なんだから…
きっと幹部以外人達は、あたしの本当の髪は普通に黒だとでも思ってるんだろう。
でも、違う…あたしは、あたしの髪は、黒じゃない。
みんなと…違うんだ。