愛して。【完】
【虎太郎side】
水川真梨を連れて入ったのは、一つの部屋。
二人掛けのソファーが二つ、ガラステーブルを挟むように置かれており、部屋の隅にはコーヒーメーカーや小さな冷蔵庫がある。
「こんな部屋あるんだ…」
「接待室だよ。幹部室に入れないような客は大抵ここに通される。普段は俺や光達が使ってるんだけど」
一つのソファーに座らせ、俺も向かいに座る。
シップが貼られ、サポーターを身に着けている足が痛々しく、目を逸らす。
でも…同情は、しない。
それに、さっき言った通り水川真梨の場合、普通はこの部屋に通されるはず。
だけど、
「何であたしは、ここに通されなかったか…ね」
この人は…怖い。
勘が鋭いだけなのかは知らないけど、俺が考えていたことを的確に指摘する。
「わかるのか?」
そう問うと、水川真梨は目を細めた。
「さあ、知らない。蓮達の心なんてわからない」
俺の心はわかって蓮さん達の心はわからないのか…なんて、俺がわかりやすすぎるだけなんだろうけど。
「それより」