愛して。【完】





夜の繁華街。


そこに昔からいるように、当たり前のように存在していた水川真梨の名。




初めて見た水川真梨は、やはり日本人離れしていて。


歳は一つしか変わらないはずなのに、おかしなくらいに大人びたそれに、そこにいた人は男も女も関係なく目を奪われただろう。


もちろん、俺も光も然りだ。




綺麗な顔は、今も一緒。


だけど、なんだか儚くて。


でも、強い瞳をしていて。


その矛盾した雰囲気が、たくさんの男を惹き付けたのかもしれない。







それから、数か月後だった。


もう一人の幼なじみが、泣いて俺と光の元に来たのは。




光は昔から女であるそいつに惚れていて、その話を聞いてブチ切れた。




“彼氏が水川真梨に寝取られた…”


と言う、話を聞いて。




幼なじみの彼氏を、光は知らなかった。


それはそうだ。


彼氏は俺と同じ中学で、光と接点なんて一つもない。


ただ、その彼氏とは結構仲が良かっただけに、俺もショックだった。




そいつが水川真梨と寝たと言う、事実が。





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