愛して。【完】





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「ちょっと、虎太郎?」


「…あ、ああ…ごめん」




トリップしていたのだろう、目の前の水川真梨はどうしたのかと首を掲げている。


大きな目が、俺を見詰める。




「で、何を話したいの?」




何を――そんなもの、わからない。


ただ、その瞳に映った影は何を見ているのか。


水川真梨が、知りたいだけ。




恋とかそんなんじゃない。


ただ…水川真梨を女としてじゃなく、人として知りたいと思うだけだ。




「水川真梨は…何でここにいるの」




“ここ”


それに、決定的な場所は無い。


それが真梨の社会的な“遊び人”という立場なのか、


獅龍と言う場所なのか、


獅龍の姫と言う位置なのか、




それを決めるのは誰でもない、水川真梨本人だ。





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