愛して。【完】
――――――――――――
――――――――――
―――――…
「ここだよ」
学校から少し歩いた、公園。
普通に歩けば5分足らずで行けるんだけど、あたしが怪我で遅い所為で10分くらいかかってしまった。
「ここ?」
「そう。最近は来てなかったんだけどね、昔よく来てたの」
そう言って、この公園にある唯一の遊具、ブランコに乗る。
蓮はその周りにあるさくに軽く寄りかかる。
あたしからあまり遠くもなく、近くもない。
「真梨」
大きく地面を蹴って、怪我した足を庇うように小さくブランコを漕いでいるとかけられた声。
「ん?」
「今日はよく、喋るんだな」
「そう、かな」
小さく呟くように言って、漕いでいた足を止める。
「別に、普通でしょ」
そう言いつつ、この数日の中で一番口が動いていることは自覚している。
だって、仕方ないじゃない。
今朝の余韻が、まだ残ってるんだから。
「少し嬉しいことがあっただけだよ」