愛して。【完】
蓮の言葉に、軽く顔が火照るのを感じる。
お、お楽しみって…アンタねぇ?!
でも、そんなことを言っている場合ではないのはあたしでもわかる。
あたし達の前には、5,6人の男達。
凶器は持っていないが、目が血走っている。
「お前等、どこの奴等だ?」
相手の男達を睨んで、あたしを隠すように蓮はあたしに背を向ける。
「はっ!どこでも一緒だろうよぉ、志摩!!」
そう言った1人の男に、そう言えば蓮の名字は志摩だったかな、なんて考える。
でも、そんなことを考えている間にも男達は殴り掛かってきそうだ。
「確かにそうかもな」
「…余裕そうだな」
「お前らごときで相手になんかなるわけねぇだろ」
挑発するような蓮の言葉に男達は血が昇ったのか、てめぇ!!と叫んで殴り掛かってくる。
「真梨」
あたしの名前を呼んで、一瞬だけあたしに目を向ける。
「目ぇ閉じとけ」
目閉じろって、そればっかりだな。
なんて思いながらも言われた通りに目を閉じる。
閉じていないと、見てはいけないモノを見てしまう気がしたから。