愛して。【完】





――ボコッ


「がはっ」




――ドゴッ


「げほっ」




皮膚と皮膚のぶつかる衝撃音と、それによって引き起こされる声。




「や、やめっ…!!」


「そっちから吹っかけたんだろうが」




――ガンッ


一層大きな音が聞こえたかと思ったら、生々しい音はもう聞こえなくなっていた。




「蓮…?」




恐る恐る、目を開ける。


話していることからして、蓮が喧嘩に勝ったことはわかるけれどやっぱりどこか不安だ。




「真梨、まだ目ぇ開けんな!」




蓮のいつもより強い口調の声が聞こえたけれど、もう遅い。


あたしはもう、目を開けてしまっていたから。




そしてあたしは、絶句した。




目の前の光景に、


状況に、




体が強張るのがわかった。





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