愛して。【完】
困惑
【隼side】
「どういうことだよ…っ?!」
吐き出した声が、震えた。
何も答えない蓮に思わず掴みかかろうとしたのを、タカに後ろから引っ張られて止められる。
タカを見れば、何も言わずに顔を横に振った。
「くっそぉ……!」
タカの言いたいこともわからないわけじゃない。
蓮が真梨を守れなかったのは、蓮の所為じゃない。
傍から見たら蓮の所為なのだろうけれど、蓮で守れなかったのならきっと誰も守れていないだろう。
ただ、そんなことがあっていいのかと反発が生まれてしまう。
昨日の夜、本当の真梨を見れた気がしたのに。
真梨になら自分を見せても良い気がしたのに。
認めてやってもいいかなって、思えたのに。
きっと、誰もが昨日真梨を守ることを覚悟したのに。
そんなことがあっていいのかよ…!!
“真梨が拉致られた”
なんて、そんなこと。
あっていいはずがなかったんだ。