愛して。【完】




――硬い?


むしろ柔らかい…




――冷たい?


むしろ温かい…




――狭い?


むしろ広い…




ここ、どこ…?




「ん……っ」




重い瞼を無理矢理開けると、眩しくてチカチカする。




「どこ…」




周りを見渡せば、白で作られたシンプルな部屋。


壁、天井一面真っ白で、あたしが寝ていたらしいベッドだけがポツンと置いてある。




見た事の無い、知らない部屋だった。


記憶を手繰り寄せるようにして頭に手を置いて、そのまま髪を梳く。




「え…っ!?」




そして、驚愕の声が漏れた。


だって真っ黒に染められていた筈のあたしの髪が、ハニーブラウンに戻っていたから。





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