愛して。【完】
え、と聞き返すよりも、あたし達を眩しい光が捉える方が先だった。
蛍光灯なんかよりもずっと強い、光。
眩しすぎるそれにあまりよく見えないけれど、確かにその光はあたしが望んだものだった。
あたしが求めた、人だった。
「れ、ん」
消えてしまいそうなほど小さなあたしの声は、誰にも届かない。
だけどそこにいるのは、確かに蓮と獅龍のみんなだった。
「真梨ちゃん、ちょっとごめんね」
あたしにしか聞こえないように耳元でそう囁くと、星宮はあたしの肩を乱暴に自分の方へ引き寄せた。
強張ったあたしの体に見向きもせずに、星宮は歩いていく。
ただわかるのは、あたしの体は拒否を示しているということだけ。
ガクガクと震える体は、星宮によってやっと支えられていた。
獅龍の倉庫とは違う、廃工場のような邪鬼の溜まり場。
バイクのライトが切られ、ハッキリ見えるようになった蓮達がいるのはきっと入り口付近。
そしてあたし達がいるのは一番奥。
そこから真ん中の方へ歩いていく星宮は、真ん中でも蓮達から一番遠い所で止まった。
「よく来たね、志摩」
「……」
ニコリと笑う星宮と、それを睨み付ける、蓮。
蓮の視線があたしの肌蹴たままのシャツに移れば、雰囲気がもっとどす黒くなるのがわかった。
二人が漂わせる空気が冷たくて、余計に体が震える。