愛して。【完】





「いいか」


「「はいっ!!」」




蓮さんの低い声が木霊して、声を上げる。


その瞬間、ものすごい音を鳴らして扉を蹴落とした。




古びたそれは、俺と虎太郎が蹴れば簡単に蹴破れた。


そのまま扉周辺にいたであろう男達を殴る。


とりあえず邪鬼の奴らが俺等を危険分子と判断したのか、離れて行くのを見て蓮さん達を招き入れた。




バイクのまま入ってくる蓮さん達は、ライトで眩しい。


それを避けるように逆に回れば、邪鬼の奴らが集まっている所がよく見えた。




そして同時に、目に入る水川真梨。


ここからでもわかるほどに震えている水川真梨は、邪鬼の総長である星宮によって乱暴に支えられている。


蓮さん達はライトを切ったのか、さっきよりも水川真梨と星宮の顔色がよくわかる。


星宮は普通だけど…水川真梨は真っ青だ。


蓮さんを見れば、鋭い眼光でそちらを睨んでいる。


それもそうか…


大切な女が怖がって震えていたら、そんな風にもなる。


しかも……水川真梨のカッターシャツは破かれて、大きな胸がブラジャーに包まれて惜しげもなく晒されている。




「よく来たね、志摩」




しっかり星宮の声をきいたのは、初めてだったかもしれない。





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