愛して。【完】





「お前等…手加減、すんじゃねぇぞ」




蓮さんの前にいる訳でもないのに、はっきりと聞こえる声。


ただ、それに俺達は頷いた。


誰一人文句を言うことも無く。




いや、誰も言えないだろう。


あの水川真梨が、そう言う行為を嫌がって、俺達に助けを求めているのだから。


もしさっきまで何で水川真梨なんかを助けなきゃいけねぇんだ、って思ってた奴がいたとしても、水川真梨が嫌がっているのを見れば、そんなことはどうでもよくなるだろう。


だってそいつは、仮面を取った水川真梨のことをあんまり見た事の無い奴だろうから。


こんな姿を見れば、誰だって心を動かさざるを得ない。




「行け」




聞こえるか聞こえないくらいの小さな声。


それでも、俺達の耳にはしっかり聞こえて。


俺達は、邪鬼の男達に殴りかかっていた。




喧嘩が始まれば、相手の拳を避けて、蹴りを避けて、殴って、蹴って、突き飛ばして。


それの繰り返し。




邪鬼の下の奴等なんて俺でも相手にならないくらいだ。


きっと、蓮さん達はもっと余裕な筈。


チラリと蓮さんを見れば、周りの奴らを投げ倒して水川真梨の方へ走っている。


でも、確か水川真梨の元には…




…アレ?





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