愛して。【完】
「ちょっとごめんな」
そう声を掛けて、水川真梨の傍にしゃがみ込むと蓮さんの掛けたブレザーのボタンを一つ一つ止めた。
目のやり場のなかった胸元が、さっきよりは大分マシになった。
これでも刺激が強いのに変わりはないけれど。
「立てねぇ…んだよな」
「う、ん…」
弱々しい水川真梨の同意を聞いてから、周りを見渡す。
流石、とでも言おうか。
みんな水川真梨を避難させるために道を開けている。
作られた道に邪鬼の奴等が入らないようそれに背を向けて、戦っている。
グズグズしてる場合じゃない。
はっきり言って、いつ崩れるかわからない道。
崩れる前に、水川真梨を連れて行かないといけない。
「ごめんな」
そう言って、水川真梨の背中と膝の裏に腕を滑らせた。
「っ…!」
そして、大きく跳ねる水川真梨の体。
そりゃ嫌だよな。
あれだけ嫌がってたってことは、星宮とヤった時だって相当抵抗したと思う。
それでもヤったってことは、それだけの恐怖を男に覚えたと言っても良いだろう。
「わりぃな、ちょっと我慢しろよ」
そう、宥めるように少し背中を撫でた。