愛して。【完】
言葉
【光side】
「光……眠い…」
安心したのか、少し震えが止まってきた真梨はどうやら眠いらしい。
今にも瞼が落ちそうになっている。
一応今抗争中だというのにウトウトしている真梨は、ある意味図太い神経の持ち主なのかもしれない。
「眠いなら寝てろよ」
どうせ俺もここにいるんだし、という意味を込めてそう言う。
でも真梨は、
「でも、本当は戻りたいんじゃないの?」
俺の仕舞い込んだ本音を的確に当ててくる。
「……」
だけど、答えられないそれに俺は黙るしかない。
あの抗争に戻りたくない、と言ったら嘘になる。
俺は結構喧嘩が好きな性質(たち)だけど、結局抗争の最後は総長同士のタイマンでだいたい終わる。
でも、そのタイマンを見たい気持ちもあって…
「戻りたいなら戻ればいいのに」
眠そうなのにそんなことを言う真梨に眉を寄せた。