愛して。【完】



大河さんも気付いてる…か。


て言うか、多分みんな気付いてる。


この光景を見ているみんな、気付いてる。




周りを見れば、邪鬼の奴等はほぼ全員倒れていて、俺達獅龍の面子はそこまで大事に至る怪我人は見当たらない。




「でも、もうそろそろ終わるんじゃないですか?」


「ん~、でもかれこれ1、20分くらいこの調子なんだよなぁ」




大河さんの言葉に、え、と驚いた声が零れる。


蓮さん相手に1、20分…?


星宮、もはや怪物?


蓮さんの戦闘能力は獅龍の中でも一番と言っていいほどだろうし、体の線だって星宮の方が断然細い。




「まあ……光の言う通り、もうちょいだろうけど…」




ほら、と付け足すように言われた大河さんの声に、視界を蓮さんと星宮に絞り込む。




どちらも同じくらいの強さか…いや、星宮は避けているだけだからどうとも言えないけれど。


蓮さんが右拳を打ち込めば左に避けて、そのまま回し蹴りをかませばひょいっと後ろに跳び避ける。


反射神経がいいのか、あれは。


避けることだけが人一倍できるのか、それともそれ以外の戦闘能力も同等のものなのか。


ただ、星宮は不敵に笑うだけだ。




「バーカ」





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