愛して。【完】
「真梨」
入ってすぐ、あたしの名前を呼ぶ蓮。
それはあたしが待ち望んだ声で、思わず想いが高ぶる。
「蓮……っ」
あたしの縋るような声をきくと、蓮はフッと優しく笑う。
そして、あたしを壊れ物を扱うかのように抱き締めた。
「蓮…蓮……っ」
「ごめんな、真梨」
謝る蓮に、首を横に振る。
「謝んないでよ……むしろ、ありがとう」
蓮の顔を見上げて、笑顔を作る。
「助けてくれて、ありがとう」
柔らかく笑ったつもりなのに、蓮は何に納得がいかないのか困ったような顔をする。
「蓮…?」
「助けれてねぇだろ。実際真梨は星宮に……」
言葉を濁して、蓮はあたしから顔を逸らす。
ああ、そっか…
蓮達はあたしが星宮にヤられちゃったって思ってるんだっけ。
「別に星宮に何もされてないよ?」