愛して。【完】
「はあ?」
思いっきり眉を寄せる蓮。
そんなにしかめっ面しなくてもいいじゃん。
「だから、別に何もされてないって」
「お前震えてたじゃねぇかよ」
「あ~…あれはちょっと……」
「あんだよ」
まだしかめっ面の蓮を上目遣いに見上げる。
「襲われかけちゃった、みたいな」
あはは、とふざけてみるけれど、蓮の眉間の皺は余計に深くなるだけ。
「ちゃったじゃねぇだろ、ちゃった、じゃ」
ムカつく、そう言って蓮は抱きしめる力を強くする。
あたしの顔を自分の胸に押し付けて、あたしの髪を撫でた。
「俺以外の男に触らせんなよな…」
ああ本当、蓮のバカ…
そんなこと言わないでよ。
あたしの中の蓮への想いが溢れだしそうになるから。
そんな勘違いしそうなこと、言わないで。
でも、勘違いしたいと思ってる。
たとえこれが勘違いだとしても、あたしの想いは変わらないから。
勘違い、したいよ。
蓮もあたしのことが好きなのかな、って。