愛して。【完】





深く求める唇。


絡まる舌。




ただし、それは蓮からのもの。


あたしはただ、目を閉じることもせず蓮の長い睫の影を見詰めることしか出来ない。




「れ、んぅ…っ」




名前を呼ぶことすらままならなくて、蓮の思惑なのか反射的に目をギュッと瞑った。








「真梨」




息が上がるわけでもなく呼ぶ蓮。


やっと離してもらえたあたしは、息も絶え絶えだと言うのに、なんという屈辱だろうか。




「本当、キス弱いよなお前」




ニヤニヤと厭らしく笑う蓮に煩い、と睨み付ける。


だけど、蓮はその視線すら包み込むようにもっと強く抱きしめた。




耳に当たる蓮の胸が少し早く脈打っている。


あたしのも同じくらい早い。




「あー……抱きてぇ」


「ハッ?!」




突然の蓮の発言に、顔に熱が溜まる。


抱きたいとか、何言ってんのコイツ!




「んだよ、いーだろ。もう本当に俺の女になったわけだし」





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