愛して。【完】
*seven*
またね、
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次の日、目を覚ましたら蓮の腕の中だった。
あたしの耳が蓮の胸に押し当てられ、体に蓮の腕が巻き付いている。
ちなみにどちらも服を着ている。
昨日はシゲさんの店から帰った後に疲れてすぐに寝ちゃったから、寝る前にちょっとキスしたぐらいでそう言うことはヤらなかった。
蓮を見上げれば、すぅすぅと寝息をたてている。
「蓮~?」
呼びかけても当たり前だけど返事はない。
腕からそっと抜け出してケータイを見れば、時刻は12時ちょっと前。
今日は確か土曜日だし別に慌てはしないけれど、いくら疲れていたからって寝過ぎだ。
自分で自分に呆れてしまう。
小さく溜息を吐いてから、隣で寝ている蓮の体を揺すった。
「蓮~、起きてっ」
さっきよりも大きな声で呼ぶけれど、蓮は眉間に皺を寄せただけで起きる様子はない。
「蓮~…」
起きない蓮にもう一度溜息を吐いて、蓮の顔を覗き込む。
いつみても綺麗な顔は、あたしを魅了する。
少し開いた唇が色気を放っていて、思わず心臓が跳ねた。
「起きてよね~」
小さく笑いながら、蓮の上に覆いかぶさる。
ドキドキさせられっぱなしは何か嫌だ、なんて我ながら子供みたいなことを考えて。
「キスしてやろーか」
言ったこともない台詞を、寝たままの蓮に吐き捨てた。