愛して。【完】
そしてその瞬間、目の前の瞼が開かれたことにあたしは硬直した。
「してくれんの?」
普通にそう言って来る蓮に、返す言葉も見つからない。
て言うか、何で。
何で起きてんの。
さっきまで寝てたじゃんか。
しかもあたしの台詞きいてたの?
え、嘘、
「しないとか言わねーよな、自分から言ったんだし」
ニヤリと笑う蓮は、確信犯。
自分の顔に熱が集まるのがわかる。
こいつ、起きてたんだ。
起きてて、寝てるふりしてたんだ…!!
跨ったままのあたしの髪に手を伸ばして、蓮はあたしの髪を指で梳いて。
「早くキスしろよ」
熱の籠った銀の瞳に捉えられて、あたしは吸い込まれるようにキスをしていた。
触れるだけの子供みたいなキスをして、離れる。
瞼を開ければ蓮と目が合って、顔がまた熱くなる。
「足りねぇ…」
「え…?」
「誘ったのはお前だからな」
腕を掴まれたかと思うと、そのまま引っ張られて。
小さな悲鳴を上げると同時に、あたしは蓮の腕の中に閉じ込められていた。