愛して。【完】
「お待たせ、真梨」
「ありがと、タカ」
タカによって運ばれてきたペペロンチーノ。
朝昼兼用だというそれにお礼といただきますを言って、手を付ける。
蓮はあたしが部屋から出てくる前に食べてしまったらしく、この部屋にはいない。
タカが言うには、ちょっと野暮用、だそうだ。
今この部屋にはタカとあたしの二人だけ。
今までにない組み合わせに、なんとなく黙ってしまう。
パクリとペペロンチーノを口に入れて、もぐもぐと口を動かす。
当たり前のその動作がだんだん遅くなる。
「もう無理か?」
それに気付いたタカが、あたしに近付いて来る。
「うん……これ以上食べらんない」
「そっか。それじゃ、下げるな」
ついにあたしのフォークが止まってしまったのを見て、タカがお皿を下げる。
「ごめんね、ありがとう。ごちそうさま」
申し訳ないけれど、これだけはどうしようもない。
たくさん食べられないのは、どうしたって急には変えられない。
「どういたしまして」
少し嬉しそうに笑うタカに、ホッと息を吐いた。