愛して。【完】

「や、俺は嘘なんて……!!」


「へぇ？」




どう見ても嘘をついていることはわかりきってる。


視線を彷徨わせて、おろおろと効果音が聞こえてきそうだ。





「んじゃあ、あたしちょっと下行って来るから」


「え、真梨!?」




面倒臭くなって、あたしを止めるタカの声も無視して扉に手を掛ける。


タカは焦った様にまた声を張り上げるけれど、あたしには事実を伝えているようにしか見えなかった。


だって、こんなに焦るってことはタカはあたしをここから出したくないんだ。


ということは下で何かが起こってるんだろう。


そしてきっと、そこには蓮がいる。


大河も颯も、隼もいるだろう。


だけど、そこまで大事ではないことは見てわかる。


タカが、ここにいるから。


あたしに何も伝えずに、タカが傍にいるから。


ほんとに大事なことだったら、きっとタカはここにいない。


そしてあたしは総長室に押し込められているだろう。








扉を開けば、いろいろと信じられない光景が見えた。





「星宮…っ?!」