愛して。【完】
その姿を捕えて、目を丸くする。
怪我した足を庇いながらも階段を下りて、さっきよりも近くに目に入った姿に目を疑った。
倉庫のほぼ中心。
周りには半径10メートルほど開けて獅龍面子が群がっている。
そして、その集団よりも少し前に出ている蓮。
集団に近付いて、中に入り込む。
あたしに視線が集まっているのには気づいていたけれど、あたしは気にすることなく星宮に近付いた。
頭に巻かれた白い包帯。
そこから覗く染めていないだろう色素の薄い髪の毛。
片腕は肩から掛けられた布で吊られている。
「星宮、大丈夫なの?!」
星宮に駆け寄って、ペタペタとその体を確かめるように触る。
そんなあたしの行動を止めるかのように、周りからたくさんの声が上がった。
「真梨!?」
「水川さん!!」
「何してんだよ、馬鹿っ」
でもあたしは星宮が柔らかく笑ったのを見て心底ほっとした。
「バカは余計だよ、大河」
一言そう言ってから、星宮にまた向き合う。
正直、蓮達にやられちゃったんだろうとは思ってたけど怪我の具合とかは全然わかんなかったから安心した。
「よかった…」