愛して。【完】





「何~?真梨ちゃん、俺のこと心配してくれてたの?」


「…別に、してないし」


「ふふっ、可愛いねぇ」


「バカじゃないの」




プイ、とそっぽを向く。


チラリと周りを見れば、あたしと星宮の遣り取りにみんな呆気にとられていた。


でも、それも一瞬のこと。


だって星宮が、




「本当、可愛い」




そう言ってあたしを片腕で抱き締めてきたから。




「ほ、星宮…?!」




その行動に周りが騒ぐ。


でも、あたしはただ吃驚するだけ。


だって、怖くないから。


あの時と星宮の雰囲気が全く違うから、あたしをどうこうしようと思ってるわけじゃないってわかってるから、怖くない。


ただ、今あたしが一番怖いのは。


後ろから感じる、威圧感。




「星宮、てめぇ……」




そう。


蓮からの、殺気だ。




「真梨にさわんじゃねぇよ」





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