愛して。【完】
「てめぇ真梨になにすんだっ」
珍しく焦った様にあたしと星宮の間に入ってあたしを引き寄せる蓮。
「蓮っ」
見上げて名前を呼んだけれど、あたしの方なんて見向きもせず、星宮を睨んでいる。
「ははっ、志摩はほんとにベタ惚れだね」
「うるせぇ」
「本当、ムカつくよ」
ニコリと笑って言われる罵声は、思ったよりも低い。
「真梨ちゃん」
呼ばれて星宮の目をジッと見る。
「もう、会うことは無いと思うけれど……お幸せにね」
最後の別れだと言う様に、言われた言葉に眉間に皺を寄せる。
「星宮こそ」
「志摩も、ありがとうね。気付いてたんだろ、俺が邪鬼を解散させるためのきっかけとして獅龍に喧嘩を売ったこと」
「当たり前だろ」
あたしを抱き締める力を強くして、低い声で唸る様に声を出す。
「本当、志摩には敵わないな」
フフッと笑う星宮は、笑っているのになんだか悔しそう。
でもなんだか、それすら微笑ましくなってくる。
敵同士なのに、こうやって話せることが、微笑ましい。