愛して。【完】
その後、のんびりとした時間を過ごし、そろそろみんな帰って来ても良いのにな、と思う時間になった頃。
突然、扉が開いた。
「真梨っ」
顔を出したのは、隼。
「おいで、……あ、蓮もね」
「やっとか」
待った、と言うようにそう言う蓮に、首を傾げる。
「何……?」
二人して、何か企んでいるのだろうか。
急に部屋に来て、急においで、だなんて。
「ほら、行くぞ」
でも、蓮はそんなあたしの戸惑いなんて無視して立ち上がる。
腕を引っ張られて連れて来られたのは、扉の前。
先に隼が出て行ったから、扉は閉まった状態。
そして、しばらくして扉が開いた。
扉の外にいたであろう、隼によって。
「何、これ……」
その瞬間目に入った光景に、目を丸くする。
あたしと蓮を迎えるように下にいる獅龍の面子。
あたしを姫にするといった日の人数なんかの比じゃなくて。
どこからか持ってこられたソファーが並んでいたり、どこかのパーティーかのように並べられた料理。
タカは階段を上がったすぐ傍に立ってるし、
颯もその後ろ。
大河は階段の策に背を預けていて、
隼は扉のすぐそば。
そして、タカの大きな咳払いでその場がシンと静まる。
「えー、今から獅龍五代目総長、志摩蓮斗…“姫”任命式を行う!!」
次に発せられたタカの台詞に、頭が真っ白になった。