愛して。【完】
「颯」
蓮の低い声が呼んで、颯は蓮に箱のようなものを差し出す。
颯がそれを開くと、中のものを蓮が手に取った。
「それ…」
あたしの目に映ったのは、一つのネックレス。
羽がモチーフになっているそれに、ピンクの石が嵌め込まれている。
蓮があたしに一歩、近付く。
ネックレスを手に取って、あたしの首に通して。
抱きしめる様な形で、前からあたしにそれを付けてくれる。
「これは誓いの証だ」
「誓いの証…?」
「そう。俺達がお前を全力で守ると、守りきると言う、俺達の誓いの証」
耳元でそう囁かれれば、あたしはもう何も言えない。
馬鹿みたいに涙が出そうになって、何も言えない。
「綺麗だ、似合ってる」
蓮らしくない、キザなことを言われて胸が高鳴る。
それを聞いていた大河が茶化すように言う。
「蓮のヤツ、そのネックレス真梨を姫にするって言った日に注文したんだぜ?」
「え……」
「そうそう、気が早いんだよね、蓮は。今日だっていきなり今日任命式するとか言って準備大変だったし。自分はなんにもしないくせにさ」
颯の言葉で、今日一日の謎が解けた気がした。