愛して。【完】





蓮は、知ってたんだ。


何でみんながなかなか戻ってこなかったのか。


今日の準備をするために帰って来れなかったって、知ってたんだ。




「まあ今夜はパーティーだから、楽しまないとね」




颯の言う通り、今夜はパーティーなんだろう。


並べられた料理やソファーが、そうなんだとあたしに伝える。


そして、星宮の言っていた意味もわかってしまった。


“おめでとう”はきっと、姫になったことへの激励。


そして、“噂”はあたしの任命式が行われると言う噂でも流れたのだろう。




「うるせぇ」




照れを隠すように悪態をつく蓮に、思わず笑ってしまった。




「じゃあ最後に、総長から…って、要らないか。もう言うことは光とさっき蓮が言ってくれたし…」




なんて言いながら、タカはこっちを見る。


蓮もそれを見てからあたしに向き直って、笑う。




「要るに決まってんだろ、タカ」


「そう?」


「まだ真梨に言ってねぇことあるんだよ」




蓮がそう言えば、真梨にか、と言ってみんなが笑う。


あたしはよく意味が理解出来なくて首を傾げると、蓮はそんなあたしを見て抱きしめた。




「蓮?」


「真梨」




聞こえた声色は真剣で、あたしもそれに真剣にはい、と返す。




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