愛して。【完】
「もしもし…?」
『あ、真梨!やっと出た~!!真昼間から男と遊んでんのかと思ったよ』
そう言う菜穂は大学生で、あたしより3個年上。
あたしの事情も性格も、何もかもわかってくれる、あたしの大切な人。
「真昼間から遊ぶわけないじゃん」
『ま、真昼間からするのは趣味じゃないもんね?…って、こんなこと言ってる場合じゃない。あのさ、今日暇かなぁ~…って思って電話したんだけど、今どこ?』
菜穂のどこ?と言う質問に、あたしは言葉を濁す。
だって、暴走族の獅龍の総長に気に入られて拉致られた…、何て、言えない……
「えっと…、学校?」
『何で疑問形なのよ。まぁいいけど。…じゃぁさ、夜会えない?』
夜?
と思って周りにいる蓮達を見るけど…
うん、絶対に行かせてくれるわけないね。
これって、ハッキリ言って軽く軟禁みたいなもんだしね。
「今日は…無理……かな?」
『え~、そうなの?!なぁんだ、祝ってやろうと思ってたのに』
「祝う?」
『え、もしかして忘れてる?今日、何の日か』