愛して。【完】
何の日って、何の日?
今日って5月17日だよね?
…ん?5月17日?
5月17日って……
「あたしの、誕生日…」
…そうだよ。
あたしの人生最大の汚点の日じゃん。
忘れてた……
『マジで忘れてたの?…あ~ぁ、あたしが祝ってやろうと思ってたのに。まぁいいや。また今度日を改めて祝おう』
「うん…」
『なぁにしけた声してんの!
もしかして、生まれて来なきゃよかったとか思ってる?
それなら、それは違うよ?
あんたは、生まれて来てよかった。
真梨が生まれて来なかったら、あたしも真梨に会えなかったでしょ?
あたしは、真梨に会えてよかったって思うし、真梨が生まれて来てくれて、嬉しいよ。
だから、今度あたしが祝ってあげる!…って言っても、いつも通りに飲むだけだけどねぇ~』
そう言う菜穂の言葉に、フフッと笑みが零れる。
「ありがとう…」
気付けば、そう言っていた。