愛して。【完】





『どういたしまして!んじゃ、また今度会おうね。また連絡するから』


「うん」


『じゃ、最後に。誕生日おめでとう。生まれて来てくれて、ありがとう。…じゃ!!』




そう言って、着信は切れた。


一方的に切れたのは、菜穂が照れてるからだと思う。


そんなところにも、フッと笑みが零れた。


ケータイを閉じて周りを見ると、みんな目を見開いていた。


ふと、横にいた隼が我に返って言う。




「俺…真梨が本当に笑ったところ、初めて見た……」




いや、そりゃそうでしょう。


今日あったばかりだし、あたしはそう簡単に本当の笑顔なんて見せないよ?


見れたあんた達は、ラッキーだね。


隼が話したことでみんな我に返ったのか、


颯はニコニコしてて、


大河と鷹樹は顔を赤く染めて背けている。


…あたしの本当の笑顔は、刺激が強すぎたらしい。


ついでに言うと、これ、満面の笑みじゃないからね?


満面の笑みで見たら、こいつ等どうなるんだろう…


何て思ってると、眉間に皺を寄せた蓮が口を開く。







< 69 / 404 >

この作品をシェア

pagetop