愛して。【完】
『どういたしまして!んじゃ、また今度会おうね。また連絡するから』
「うん」
『じゃ、最後に。誕生日おめでとう。生まれて来てくれて、ありがとう。…じゃ!!』
そう言って、着信は切れた。
一方的に切れたのは、菜穂が照れてるからだと思う。
そんなところにも、フッと笑みが零れた。
ケータイを閉じて周りを見ると、みんな目を見開いていた。
ふと、横にいた隼が我に返って言う。
「俺…真梨が本当に笑ったところ、初めて見た……」
いや、そりゃそうでしょう。
今日あったばかりだし、あたしはそう簡単に本当の笑顔なんて見せないよ?
見れたあんた達は、ラッキーだね。
隼が話したことでみんな我に返ったのか、
颯はニコニコしてて、
大河と鷹樹は顔を赤く染めて背けている。
…あたしの本当の笑顔は、刺激が強すぎたらしい。
ついでに言うと、これ、満面の笑みじゃないからね?
満面の笑みで見たら、こいつ等どうなるんだろう…
何て思ってると、眉間に皺を寄せた蓮が口を開く。